夕暮れの街を、花束を抱えながら、歩く私。 この通いなれた通りも、地下鉄の駅にも、来ることは もう、無いのかもね・・・・。 そんな、ちょっとセンチな気分で、電車に揺られていた。 夕方のラッシュのはしりで、少し込み合って来た車内では 定年退職でもな…
賞賛の中に、こっそりと「猛毒」を仕込んだ手紙。 Sも、Y所長も、そんな手紙を、家で、たった一人で 読むのだろうか・・・・。 そんな思いを秘めながらも、私は、にこやかに、すこぶる 穏やかな表情で、会社の一人一人に手紙を渡して行った。 おまえも、悪よ…
Sの気持ちを、上げるだけ上げて、長い手紙の最後まで 読んで貰わなくては、私の「策略」は、失敗するのだ。 さりとて、浮っついた表面的な美辞麗句だけでは、Sの 心を動かすことなど、出来る筈もない。 Sに対する「真摯なお願い」編の手紙は、本当に、心を …
冷淡な策士にしては、随分、リップサービス過剰気味の 書き出しではあったのだが、なにせ、摘んでは捨て 摘んでは捨てと、女性を、野辺の雑草の如く、 扱ってきたSが、相手なのだ。 やっぱり、先制パンチは、必要不可欠! のっけから、 「S所長との出会いは…
そう、問題は、Sへのアプローチの方法。 なにせ、老練で悪知恵働く、ドンファンのSが相手なのだ。 正攻法で行ったって、撃沈するだけだ。 さりとて、浮ついた手練手管など、完全に見透かされて しまうに違いない。 冷徹な策士のおばちゃん VS 老練悪徳女たら…
Y所長への、手紙には、彼の眠っている正義感を揺り起こす 為に、そして、僅かに残っているだろう、先輩であり、戦友 であるはずの「Sへの買いかぶり」を払拭してもらうために、 情と理を、織り交ぜながら、今までに起こったSに纏わる事件、 私の知り得る、全…
その退職の事実は、新人さんの一部に、漏れてしまった。 「本当に退職するんですか?」と驚いて、聞きに来た子も いたのだが、「うん、黙っててごめんね~家庭の事情でね」 と、こっそり答えたのだった。 終礼になっても、Sの話は、別件の話で長々と続き、こ…
行き過ぎた偶然と、あざとい演出に辟易していた私だったが、 ついに、私の後釜となる、事務の女性の採用が決まった! 心の底から、ホッとする私。 私の退職は、表向きには隠されていたので、あくまで彼女は 2つあるチームの一つ、Y所長チームの事務担当とし…
あの頃の私は、Sとの三度の出会いが、意地悪な 神様の「悪戯」に思えて仕方が無かった。 「意地悪な神様の悪戯」 そうでなければ、 「出来過ぎた、やり過ぎた、あざとい演出」 これが、実話でなくて、単なる「物語」だったのなら 私は、妄想癖の行き過ぎた、…
確か、大阪万博の次の年のことだったと思う。大阪に住んでいる親戚が、祖母と私と従妹を 招待してくれて、田舎から、初めて発展目覚ましい 「関西の都」である大阪へと足を踏み入れのだった。小学生だった私には、見るもの、聞くものが全て、 物珍しかった。…
会社では、相変わらず、何事も無かったかのように 淡々と仕事し、家に帰ってからは、家事をこなし、息子が 寝た後で、新人さんたちへの「最初で最後の手紙」を 書き綴っていた。 一人一人に、思うことがあって、ついつい手紙が 長くなりがちだったが、一枚一…
以外に短い話し合いだったからだろうか・・・。 新人さんたちは、私とSとの会談の内容が 気になっているようだった。 「何話していたんですか?」 「うん、ちょっとね~ひ・み・つ。」 「え~~ずるい~~~教えて下さいよ~。」 「そのうち、解るからっ♡」 …
事務の求人を打っても、人が集まらない。 せっかく求人に応募してくれた、貴重な人材にも Sが、自分の好みを反映させるから、決められない。 そんな膠着状態が、続いていた。 2班分の事務処理を、一人で行うため、必然的に私の 残業時間だけが増えていく。 …
越すに越されぬ、田原坂♪ (古いな、誰も知らんやろ~) 越すに、越されぬ、年度末~。 そんな田原坂ならぬ、会計の年度末またぎを、 死に物狂いで何とか越えて、ヤレヤレ・・・と ほっとしたい私だったが・・・。 4月の新年度は、子どもの学校の役員決めが…
魂は、確かに、共鳴していたのだろう・・・・。 他に、どんな科学的な考察をしてみても、 説明のしようもないのだし、 逆に、思いっきり、スピリチュアルな観点で 考えてみたとしても、明確な説明は、今もって、 何一つ出来ているわけではない。 私自身が、…
Sの傍若無人な振る舞いは、女性関係のみならず、神聖な(!?) 会計ルールまでも、踏みにじるというレベルにまで達し、 そんなSを、本社のお歴々すら、止められない。 この事態に、流石のポーカーフェイスな、 鉄仮面オバちゃんの私も、怒りを抑える事は、 …
この会社に、パートの事務として入り、初めての年度末を 来月に迎えることとなった。 以前の会社で、苦い思いをしていた私は、今の会社の ちょっとばかり、他社とは違う、オリジナルな会計方法に 不安を感じていた。 その為に、予め、経理部に確認しておこう…
あっという間に、年末という断末魔~に、おしりを突かれて しまう季節となってしまいました。 暫くぶりの更新ですが、果たして、今年も、どこまで 書けるか・・・・甚だ疑問ですが・・・。 経理担当が、一番忙しい時期。 それは、年度末である。 日々も、そ…
youtu.be 淡々と、有った事を書いていっても、やっぱり疲れる ネガティブな話題。 昨日は、何やら、苦手な「ながもの系」にしつこく攻撃されました~。 ハァ・・・しんど。 げに、一番怖いのは、「人の思い(重い)」でしょうか・・・・。 たまたま、見てい…
そもそも、S所長と、Y所長のA班B班に分かれているのだから 本来なら、それぞれの班に、一名事務担当が在籍するのが 本来の形だったのだ。 一般的な経理事務と電話応対、手元金の管理、商品在庫の 管理、オーダー品の納品と管理、全員の勤怠管理と、 交通費精…
展示会用の、様々な商品を用意してくれていた、お馴染みの ベンダーさんたちが、強引で、傲慢なSを見限り、福岡で 行われる展示会への参加を、見送ることが多くなっていった。 Y所長や、私は、今までのベンダーさんに、何とか思い直して くれるように、電話…
展示会が、空中分解しそうな事態だったが、新人の営業 の14人は、何とか、盛り上げようと、展示会用の手作りの 飾りを作ったりして、健気に頑張っていた。 S所長や、Y所長が、何かと残業したがるタイプだった為 彼等彼女等も、先に帰るのは、とても勇気のい…
他県の所長さんたちから、叱られるわ、大人しいと思っていた おばちゃん事務から、啖呵を切られるわで、Sとしても、 ちょっと考えるところがあったのか、しばらくの間は、 大人しい状態が続いた。 信販のTさんも、ほっと胸を撫でおろしていたのだが、 実は、…
ある日の午後、私は、Sから呼び出された。 「ちょっと瑠璃さん、入り口のドアストッパーなんだけど どのタイプにするか決めたいんで、ちょっと見てくれる?」 「え、ドアストッパーですか? 所長の使い安いタイプで 決めて頂いていいと思いますけど・・・。…
仕事から、戻ると、食事の支度・片付け・お風呂・そして 子どもの世話が待っている。 一通り済ませると、私は、携帯電話を取り出した。 今日の一件は、事務のパートのおばちゃんが、簡単に 解決できる問題ではないからだ。 電話の相手は、同期の仙台支社の事…
Mのあまりに、あざとい「愛人アピール」が、効きすぎたのか Sが、新人女性達と、必要以上に親しくなれない雰囲気が 生まれつつあった。 まあ、大人チームとしては、変に、新人女性に手を出されて ゴタゴタするよりは、多少目には余っても、Mが防波堤に な…
連休明けの社内では、和気藹々と、呼子ドライブの話題が 盛り上がっていた。 「呼子の烏賊、美味しかったね~。」 「初めて食べたけど、感動したわ~。」 「ビーチボールも、めっちゃ盛り上がったね!」 「何か、みんな、めいっぱい、はしゃいじゃったよね~…
季節は、夏になっていた。 夏の連休に、みんなで、どこかへ遊びに行こうという 計画が上がっていた。 「どこがいいかな~」 「やっぱり、夏だし、海がいいんじゃない?」 「綺麗な海、みた~~~い!」 「ねえ、呼子とかどうかな?」 「呼子?」 「烏賊が、…
結局、Mは、Sの家族が来福中、ぬけぬけと家にまで 押しかけ、逢いに行っていた事が、解った。 しかも、黙っていればいいものを、Mは、その事実を会社で しかも、新人達が居る前で、喋ってしまった。 若い新入生に、Sを取られまいと、釘を刺したかった のかも…
奥さんと子どもさんが、来福する少し前、Sは、 久しぶりに会う家族の為、家族孝行よろしく 色々、プランを練っていたようだった。 「ねえ、瑠璃さん、子どもが、楽しく遊べる場所とか ないかな~。」 「そうですね、お子さんが、思いっきり公園とかで、 体を…