小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その③

上司からの紹介が終わり、それぞれデスクに戻って

仕事開始。

 

しかし、私の中で、何かが、腑に落ちなかった。

 

「オカシイ・・・・何かが、オカシイ・・・。」

 

何が、オカシクて、何に違和感を感じているのか

自分でも解らないまま・・・。

 

私は、只管、自分の今までの人間観察のデータを

探っていた。

 

「こんなタイプ、今まで、どっかで出遭ったっけ・・・。」

 

何故なら、私の心の奥底から、「こいつはヤバイ!」

という警報が、鳴っていたからだった。

 

何故、コイツがヤバイのか?

コイツの何がヤバイのか?

そもそも、ヤバイは、危険のヤバイなのか・・・?

それとも、実は、このヤバイを経験するために、

ここで出会うべくして、出遭ったのか・・・。

 

いつの間にか、自問自答が、始まってしまっていた。

 

新しい上司のSについては、多少のデータはあった。

以前の営業所の事務方から、「注意事項」情報を

入手していたからだ。

 

そんな情報と、あの渋い声から、艶めいた、ちょい悪親爺を

連想していた私だが、実際の本人とは、あまりにも

イメージが、かけ離れていたのだ。

 

ただ、外見だけを見ると、爽やかな好青年で、普段着なら

二十代に見えるぐらい若い。

そして妙に、遠慮がちだったのだ。

幾ら、私が年上だったとしても、一応上司だからね・・・。

それほど、気を使って貰う必要性も無かった筈なのだ。

 

もしかしたら、あちらはあちらで、「怪しいやつ警報」が

鳴り響いていたのかも知れない。(爆)

しばらくは、お互い、遠巻きで、お互いを観察している・・・

という状態が続いた。

 

Sは、現在の上司であるYの先輩であり、プライベートでも

仲の良い関係だったらしい。

Yは、現在の会社に入る前の、別の会社でSと知り合い、

先輩を追って、今の会社へ転職を果たしたと聞いていた。

 

Sの武勇伝を語らせたら、立て板に水のYであったが、今回の

人事が、所謂Yの降格を意味するものだった為、これ以降の

二人の関係性は、微妙なものとなっていく。

 

事務方として、この社内の降格人事を、取引先に説明するのも

難しい事情があったのだが、そこは、歳の功ってやつで、

何とか相手方に、遠回しな表現で、察して貰えるように

務めた。

具体的な内容は書かないが、Yは、営業としては一流だが

管理職としては三流で、営業が一流だというプライドを

捨てきれず、営業社員の採用を失敗し、その事で、営業所が

空中分解しそうになってしまったのだった。

 

その空中分解を防ぐべく、救世主として現れたのが、Yとも

親しいSだったのだ。

見た目の頼りなさそうな雰囲気とは違って、Sは、上司から

非常に信頼されていた。

 

そう、仕事は、できる奴なのだ。

 

そうそう、仕事オンリーだけなら、私としても、今までで一番

やり易い相手だったのだが・・・。

私は、右腕にも成れたと思うし、恐らく有能な秘書のように

仕事の段取りを出来たと思う。

 

しかし、そうは問屋が卸してくれなかった。

 

何故なら、見た目の爽やかさに反して、彼の心の奥底には、

とんでもない悪魔が、潜んでいたからだった。

その一端は、ほどなく、私の前で、現わされることとなる。