そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㉛
Mのあまりに、あざとい「愛人アピール」が、効きすぎたのか
Sが、新人女性達と、必要以上に親しくなれない雰囲気が
生まれつつあった。
まあ、大人チームとしては、変に、新人女性に手を出されて
ゴタゴタするよりは、多少目には余っても、Mが防波堤に
なってくれるのであれば、もう、致し方ない事として
目を瞑ろうと、考えるようになっていた。
しかし、それでは、Sの狩猟本能が満たされなかったらしい。
口説き落しにかかっていたのだ。
最初こそ、甘い言葉を、囁いていたものの、全く、相手に
されなかったSは、とうとう業を煮やし、あろうことか
その美人派遣社員さんに対して、
「デートしなければ、仕事から外す!」
などど、脅してしまったのだ。
何をしてるんだ、Sよ!
女性を脅すだなんて、ドンファンの名が泣くぞ~~~。
今まで、美人モデルさんやら、美人CAさんやら、周囲が
驚愕するほどの美人と、数多、浮名を流してきたというのに、
「恫喝」してまで、女性と付き合おうだなんて・・・・。
磨き上げてきた、ドンファンの手練手管は、
錆びついてしまったのか!?
ま、関東の女性は、比較的、雰囲気と、甘い言葉に
弱いのかも知れないけど・・・。
九州の女性は、一本芯が通ってますからね~。
そうそう簡単には、落とせませんけどね~。 (-。-)y-゜゜゜
しかし、一度「イエローカード」を突きつけていた、
同じ信販の先輩Tさんは、この事態に、烈火のごとく怒った。
Tさんの、この怒りには、多少、嫉妬も交じっていたかも
知れないが、それよりも、可愛い後輩が、パワハラ・セクハラ
の憂き目に遭っているのを見過ごせないという、
女の心意気の方が、今回は、勝っていたと思う。
いくら先輩と言えど、Tさんとて、雇われの身。
取引先のSを、怒らせてしまえば、Tさん自身が、首になる
危険もあるからだ。
Tさんは、私の居るお帳場にやってくると、鼻息も荒く
捲し立てた。
「もう、今日という今日は、絶対に許せないわ!」
「新人さん、トイレで泣いてたのよ~~~~。」
「いくら彼女が美人で、所長の好みだからってさ、人妻よ!」
「いや、人妻じゃなくったって、嫌だっていっているものを
仕事を干すとか、脅して、デートに持ち込もうとしてるのって
絶対、男として、人間として、許せないわ。」
「私ね、もう、自分が、この仕事から外されてもいいのよ。
決心したわ。今日、支社に戻ったら、今回の一件を、上司に
話して、会社として、しっかりと抗議してもらうわ!」
あまりの勢いに、狭いお帳場は、熱気が籠りそうだったが、
Tさんの怒りは、至極ご尤もな事なので、私は頷きながら、
傾聴した。
「確かに、目に余る酷い行為ね!
もう、情けないわ・・・・同じ会社の人間として・・・。」
「たださ、もしTさんが、信販会社に戻って、この事を
上司に相談したとして、上司は、ちゃんと動いてくれる?」
「信販会社さんだって、お得意さんには、色々言いづらいこと
もあるでしょ? ましてや、セクハラ・パワハラとなれば
言い逃れできないほどの証拠がないと、Sからの反撃に
遭うよ。」
「口説かれている時、録音するとかさ・・・証拠残さないと
Sは、意外と上に信頼されているから、不問に伏されるかも
知れないよ。」
「大丈夫よ、私、その口説き文句聞いていたもの。
証言できるわ。」
「そっか~、じゃ、一度、上の人に相談してみて。」
「私も、それとなく所長に、釘刺しておくから。」
「それでも、ダメだったら、もう仕方ないね・・・。」
やれやれ、Sの底なしの女癖の悪さのせいで、私は、
自分の仕事以外に、厄介な事を引き受けざるを得なかった。
しかし、ここは下手に動くと、Tさんや、新人さんの首が
飛ぶ危険性がある。
上司をものともしない、恐れ知らずの鉄仮面おばちゃんとて
軽々に動くのは、考え物だ。
私は、Sに直談判する前に、一計を案じた。