小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㉟

展示会が、空中分解しそうな事態だったが、新人の営業

の14人は、何とか、盛り上げようと、展示会用の手作りの

飾りを作ったりして、健気に頑張っていた。

 

S所長や、Y所長が、何かと残業したがるタイプだった為

彼等彼女等も、先に帰るのは、とても勇気のいること

だったと思う。

 

時々お昼休みに、女子達の「こんな筈じゃなかった。」

「もっと、会社帰りに、習い事したり、買い物したり

できると思ってたのに・・・。」

という、悲しい呟きを聞くにつけ、この子達が、いつまで

こういう状態に、我慢できるのか、甚だ不安に思えた。

 

営業時間内に、下らない話をしたり、意味不明な、そして

行く先不明な外出を、Sがしたりしなければ、もっと早い

時間帯に、仕事を終えることができる筈なのだ。

 

単身赴任で、家に帰っても、何もすることが無い・・・って

理由で、新人さんたちを、付き合わせてどうする!

効率の悪い、典型的な、ブラック企業と言われても、

致し方ないではないか・・・。

 

「ねえ、どうして、うちの会社に入社したの?」

 

「お給料が、他より良かったんです。」

「住宅手当全部負担してくれるって、魅力的で・・・。」

 

「まあ、確かにね・・・。」

 

「あと、努力次第では、企画部に転部できるらしいし。」

「●●ちゃん、あなた九大だし、他にも選べたでしょ?」

「九電とか、楽勝だったんじゃないの?」

●●ちゃんは、肩をすくめて、首を横に振った。

 

まあ、確かに、九電は、学歴も必要だけど、だいぶコネが、幅を

利かせているって、噂は、昔からあったけどね・・・。

九州で一番の国立大学出て、うちの会社じゃ勿体なさ過ぎる。

 

おしなべて14人を見てみると、真面目で、いい意味でスレてない

悪く言うと、世間を知らなすぎる、自分の価値を最大限に

売り込めない、謙虚すぎる人が多いのだ。

 

こういうタイプの人は、Sみたいな、自分の価値を、それ以上に

見せるテクニックを持ち、手練手管に富んだ、悪だくみを

駆使するタイプの人間に、上手くこき使われてしまうのだ。

 

幸か不幸か、私は、彼らと同じ年齢の頃、悪名高きブラック

企業に就職し、本の出版企画部に、転部できる事を夢見て、

彼等よりも、更に過酷な営業に従事した経験があった。

当時も、国立の有名大学を卒業して、そんなブラック会社

入社いた同僚もいた。

結果から言えば、毎月バラバラと辞めていく人が

続出する結果になったのだが・・・。

 

私は、新人戦と言われる、売り上げ競争で、全国の中でも

上位に食い込み、しんどいながらも、なんとか頑張って

行こうと思ってはいたのだが・・・。

 

他の営業班が、土日出勤を強いられているのに、憤慨し、

その事で、上司と揉めてしまい、支店全員参加で行われた

裁判もどきの会議の中で、庇った同僚にウソの証言をされ、

裏切られたまま、退職せざるを得ない状況へと、

追い込まれてしまった。

 

「正義」という若気の至りで、新卒第一回目のキャリアを

棒に振ってしまったのだった。

 

そのころの自分と、彼等彼女等が、ついついダブって

見えてきてしまう。

新人さんたちは、あの頃の私みたいに、「アホな正義感」

で、キャリアを棒に振るタイプは、居ないと思うのだが。

今の現状を見る限り、いっそ、早めに見切りをつけて、

次のステップに行った方が、幸せな気すら、してきたの

だった。

 

後に、この私の老婆心は、現実になるのだが・・・。