小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㊵

Sの傍若無人な振る舞いは、女性関係のみならず、神聖な(!?)

会計ルールまでも、踏みにじるというレベルにまで達し、

そんなSを、本社のお歴々すら、止められない。

この事態に、流石のポーカーフェイスな、

鉄仮面オバちゃんの私も、怒りを抑える事は、

出来なかった。

 

それでも、私がやらねば、誰かやる!とばかりに、怒りを

パワーに変えて、シャカリキに、事務処理に邁進した。

土日の休日出勤は、当たり前となり、体も、心も

疲れ切っていった。

家に帰れば、家事だって待っているのだ。

夕食を作り、後片づけを済ませて、リビングのソファーに

座ると、もう、いつの間にか眠ってしまい、息子に

起こされることも、度々あった。

その為か、その頃の、記憶は、かなり曖昧だ。

 

なのに、今でも、この頃の夢を時々見るのだ。

 

「あれ、私、会計締めて本社に送ったっけ・・・。」

夢の中で、不安になる私。(T_T)

 

(トラウマかよ!)

 

その頃の私は、自分のメンタルを損なわない為に、日ごろ

聞きもしない音楽を流し、それにギリギリ支えられながら、

休日の事務処理を淡々と行っていた。

 

途中で、CDの音楽が切れようものなら、ものの一分も待てず

直ぐに、また同じ音楽を再生する。

その姿は、まるで、イライラしたティーンエジャーそのもの

のようだった。

それでも、メンタル保ってられたのは、「エンヤ」さまの

癒しの音楽のお陰でしょうか・・・・。

 

営業担当者は、催事が終わってしまえば、後は天国。

お祭り騒ぎが終わって、打ち上げすれば、また新たな

気持ちで、スタートできるのだが・・・・。

 

前代未聞の、掟破り、「年度末またぎ~~~」という

パンドラの箱を開けてしまったSのお陰で、私には、

ありとあらゆる困難が、降りかかってきた。

 

パンドラの箱は、確か最後に、「希望」という素晴らしい

プレゼントが、出てきたはずなのだが・・・。

私には、「重度の肩こり」という、有難くない贈り物

だけが、残されていたようだった。

 

年度末の処理もしつつ、毎日の仕事も二班分、こなさな

ければならない。

 

催事が終わり、のんびりと談笑する新人さんと、Sを

横目に見ながら、私は、只管、仕事に打ち込んだ。

 

「いや、何、ちょっと、シャカリキになりすぎ

なんじゃない?そんなに焦らなくて大丈夫だって

ちょっと休憩したら?」

 

薄ら笑いを浮かべながら、そんな他人事のような、

無責任な言葉を投げかけるSに、

私の怒りは、ついに爆発した!

 

「やってらんない!」

 

私は、立ち上がると同時に、バンと机を両手で叩いた。

 

一瞬、新人さんも、Sも、言葉を失った。

 

私は、頭を冷やすために、立ち上がり、ウォーターサーバー

ある方向へと、歩き出した。

何か言いたかったのか、或いは、偶然なのかも知れないが、

丁度、Sも立ち上がり、お互い、向かい合う形となった。

 

否応なく、目が合う事態に・・・。

二人が、相対し、目線が合った瞬間、そこに

不思議な磁場が開いたように、感じた。

 

 

Sと目が合った瞬間、私の視界は、真っ白になった。

体が、金縛りにあったように、動かず、立ち尽くす私。

 

そして、次の瞬間、私は、別の場所に居た。

 

いや、正確には、別の場所に居る映像を、

見せられたのだ。

 

そこは、どこか、空気の澄み切った高原のような

場所に立つ、レストランだった。

 

木の壁や床と、可愛いテーブル。以外に広い場所だ。

窓から見える景色は、林のようで、緑が目に眩しい。

私は、その景色を堪能しながら、テーブルに付こうと

していた。

 

すると、入り口の方から、誰かが入って来るのに気づいた。

 

それこそ、まさに、S本人だったのだ。

 

すると、私は、懐かしい人に会ったかのように、手を振り

お互いに歩み寄った。

自然に、テーブルに座り、談笑する二人。

 

なんて、平和な光景だろうか・・・・。

 

 

「え・・・あれ、今、私は、本当はどこにいるの?」

 

そう、我に返った瞬間、私は現実に引き戻され、

ガクッと、からだに衝撃が走った。

 

一体私は、何を見せられていたのだろう・・・・。

 

これが、世に言う、

「白日夢」というやつだろうか・・・・。

 

一体何秒、こんな状態でいたのだろう・・・。

 

ふとSの方を見ると、顔面蒼白で、同じように

立ち尽くしていた。

 

まさか・・・同時に、同じ「白日夢」でも見たのか!?

 

Sは、プルプルッと首を振り、私たちは、お互いを

見ないまま、すれ違った。

 

この状況は、周りから、どう見えていたのだろう・・・。

微かに、女子たちの、囁き声が聞こえた。

 

「ねえねえ、今の見た?目線絡んでいたよね~。」

 

まじか・・・・・。

 

 

しかし、誰が信じてくれようか・・・。

 

私たち、どうやら、

「今、一瞬、ここに居なかったようです。」

       ・・・なんて事。

「どこか別の場所へ、飛んで行ってました。」

     ・・・なんて事。

 

当時の私にも、この体験は、理解できなかった。

 

なんで、こんな体験をしたのか・・・。

なんで、こんな事が、起こるのか・・・・なんて。

 

この時から、既に、十数年。

様々な、不思議な体験を重ねた私は、確信している。

 

そう、Sと私は、ツインソウルなのだと。

現実が、どんなに反発し合う間柄だろうと、相容れぬ

思考・思想・生き方だろうと、「魂」は共鳴してしまう

ということを・・・。