小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㊽

行き過ぎた偶然と、あざとい演出に辟易していた私だったが、

ついに、私の後釜となる、事務の女性の採用が決まった!

心の底から、ホッとする私。

 

私の退職は、表向きには隠されていたので、あくまで彼女は

2つあるチームの一つ、Y所長チームの事務担当として

採用されたことになっていた。

 

しかし、実際は、私は退職するわけで、彼女に仕事を教えるにも

とにかく時間が無い。

通常の仕事をしながら、彼女にレクチャーをしていく私。

 

しかし、彼女は、話を聞くだけで、一向にメモすら取らないのだ。

「大丈夫?解るかな・・・・解らない部分は、質問してね!」

そう言っても、「はい」と答えるだけで、話は聞き流されていく。

 

「一応、引継ぎのノートは作るけど、自分で書かないと、解らなく

なるからね、メモしていた方がいいよ。」

「大丈夫です!」

(おいおい、君は、聖徳太子並みの記憶力を、お持ちなのかい?)

 

私の経験上、こういうタイプの人ほど、仕事ができないのだ。

それどころか、仕事のツボすら、理解していない人が多い。

 

私たちのやり取りを見ていて、Sも不安に感じたのか、彼女に

向かって、「覚えようとしないで、メモに書いて、忘れた方が

楽だよ!」とアドバイスしてきた。

しかし、彼女の態度は変わらない・・・。

 

(こりゃ、大変かもな・・・・。)

 

案の定、彼女は、全く仕事というより、事務処理が出来ない

タイプで、ベテランおばちゃんが、のちに激怒したのだった。

彼女のお陰で、私は、辞めてからも、彼女に仕事を教えるために

また、事務所へ通うことになるのだった。

 

しかし、せっかく採用された彼女に、厳しく当たって、

辞められては、また、私の退職日が伸びてしまう。

私は、残された少ない時間で、出来得る限り、彼女に繰り返し

教えた。

 

そして、ついに、私にとって、待ちに待った「最後の日」を

迎えたのだった。

当然、私の退職を知る人は、朝礼で、その事を皆に話すのだと

思っていたのだが、新人の事務の子だけを紹介し、私の退職話は

華麗にスルーされたのだった。

 

「おいおい、まじかよ! そこまでするのか~~~。」

 

「まあ、いいさ、それも想定内。お別れのお手紙は、既に

用意済み、終礼とともに、一人一人手渡すだけよ。」

 

Sの冷淡な行動は、予め、想定していたため、私は、終礼まで

極めて冷静に、普通に過ごしたのだった。

 

しかし、ベテラン組で、私の退職を知る人が、不憫に思ったのか、

私の退職を、漏らしてしまったのだ。