小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㊿

Y所長への、手紙には、彼の眠っている正義感を揺り起こす

為に、そして、僅かに残っているだろう、先輩であり、戦友

であるはずの「Sへの買いかぶり」を払拭してもらうために、

情と理を、織り交ぜながら、今までに起こったSに纏わる事件、

私の知り得る、全ての事実を、書き綴った。

 

Sの目的達成のための、非情さと、傲慢さは、Y所長も知る

ところではあるのだが、Y所長の、人の良さと、優柔不断さと

Sに対する思い入れの深さは、Sの本質を真っ直ぐ見るには

大甘なサングラスとなっていたのだ。

 

そのサングラスを外して、生の、見たくない、スルーしたい

Sの本質を見、そして、それと向き合って、尚且つ、若き新人

さんたちを、Sの毒牙から、守って貰わねばならないのだ。

私が、この職場を去る以上、Sと対等に渡り合い、戦っていける

のは、もうY所長しかいないのだ。

 

Sが、福岡店の所長として赴任すると決まった時の事だった。

Y所長は、私に、Sの武勇伝を聞かせてくれたことがあった。

 

その武勇伝は、男性同士の話なら、拍手喝さいを持って

盛り上がる、格好の酒のつまみには、なったかも知れない。

しかし、女性である私にとっては、眉を顰めるしかない、

聞くに堪えない、恋愛中毒患者の与太話にしか

聴こえなかった。

 

とにかく、街ですれ違おうが、電車で乗り合わせようが、

たまたま出張中に、機上でであった客室乗務員であろうが

Sは、アンテナに引っかかった女性という女性に、果敢に声を

掛け続け、とにかくデートに持ち込むという荒業の持ち主

だったのだ。

 

(そうそう、昔あったよね~。妖精みたいな純粋で

可愛い彼女とデートの最中、8歳も年上のお姉さまに、声を掛け、

無理くり写真を撮って、大目玉くらったこと!)遠い目(=_=)

 

しかし、そんなSの高度なナンパ技術と、テクニックに、実は、

Y所長は傾倒し、むしろ崇拝していた節があるのだ。

 

Y所長は、確かにSとは対照的で、恋に奥手な部分は

あったのかもしれない。

しかし、そんなナンパな男を、普通なら軽蔑し、冷ややかな

目でみても不思議ではないというのに、Y所長が語るSの

武勇伝には、愛しい人を語るような、夢見る遠い目つきと

尊敬の念が、入り混じっていたのだ。

 

しかも、Y所長は、こう言ったのだ。

「いや~、俺も女だったら、一度抱かれてみたいかな。」

 

(げっ、まじか~~~~)('Д')キモイ~

 

「いや、男としてでもいいな・・・もしも、S所長に

●●●出せって言われたら・・・・ピー音発令中

・・・しちゃうな~~~~。」

過激につき、表現を自粛させて頂きます。)

 

何だか、実際、そんな事があったんじゃ・・・・と

ついつい、疑ってしまいたくなるほど、Y所長のSに

対する「思い」は、特別だったのだ。

しかし、Y所長も結婚し、子どもも授かったことで、

家族が第一となり、現実を見ることができたのでしょう。

 

「おれ、もう昔みたいに、S所長が、手を出した女に

因果を含めて、別れさせる手伝いなんてしないから!」

「色々女に手を出すのはいいけど、すぐに放置して

次に行くからさ、結局俺が、いつも後始末させられる

羽目になってたんだよ!」

 

思わぬカミングアウトでしたが、確かに、Sにとっては

使い勝手の良い、後輩だったに違いありません。

 

確かに、家族は大事です。最優先してもらいましょう。

でも、その次ぐらいに大事にしてほしいのが、新人さん

達でした。彼らの真面目な情熱と、仕事に対する真摯な

姿勢を、決してSの私利私欲と、酒池肉林の為に、汚して

貰っては困るのです。

 

そこで、去り行く私が、仕組んだ手紙。

どれほどの効力を保ち、どれほどの時間稼ぎが

できるのか・・・。

 

問題は、Sへのアプローチでした。