小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その52

冷淡な策士にしては、随分、リップサービス過剰気味の

書き出しではあったのだが、なにせ、摘んでは捨て

摘んでは捨てと、女性を、野辺の雑草の如く、

扱ってきたSが、相手なのだ。

 

やっぱり、先制パンチは、必要不可欠!

 

のっけから、

 

「S所長との出会いは、衝撃でした!」

 

なんて、安っすい恋愛小説の書き出しみたいな・・・

思いもしない、読みようによっては、情熱的なラブレター

にも思える一文を目にして、一体ご本人は、

どう反応したのだろう。

 

勿論、あの分厚い手紙と、鍵かもしれない謎の金属を探知

したSが、その場で手紙を開けるわけはないと、私は踏んで

いた。 仕事が終わり、アパートに戻って、おもむろに

手紙は開けられたのだと、私は、思っている。

 

開けた時のSの顔が、どんな表情だったか、見たかったですな!

 

手練手管のモテモテ星人が、冷淡な策士おばちゃんの、必殺

ファイヤーアタックを、どうかわしたのか・・・。

煮ても焼いても食えぬ、中年おばさんのドンキホーテぶりに

思わず、冷笑を浮かべたのか、鼻で笑ったのか、よもやまさかの

「ドキリ」としたのか・・・。(爆)

 

それとも、「気づいてたのか・・・。」と思ったか・・・。

 

そう、二人の公然の秘密(なんか怪しい響きだな)だった、

三度の出会いに、私が何も触れないことで、もしかしたら

Sは、私が、それに気づいていないと思っていた

可能性もあるのだ。

 

まあね、別に、何のやましいことがあるわけでなし、与太話

ついでに、「いや~奇遇だったよね~。」と話しても、別に

差支えない程度の、出会いではないか!

 

変に隠していたくせに、酔って、新人さんたちに、一部を

リリースするから、良からぬ憶測を呼び、荒唐無稽な

ラブストーリーを、捏造されてしまうのだよ!

 

全く、ええ迷惑ですわ!

私の「信用」を返せ~~~。

 

まあ、そんな怒りはこの際、目を瞑って、残される新人さん

達の、見えない防波堤になれればと、Sに何と思われたとしても

最後まで、手紙を読んでもらうために、私は、無い知恵を

絞りだして策略を練ったのだった。

 

私は、手紙を2通に分けた。

一部は、Sに対する「真摯なお願い」

もう一部は、SとY所長との、関係性を根底から、ひっくり返す

爆弾を仕掛けていた。

そして、その爆弾の実弾こそが、Sが鍵と勘違いしただろう

金属なのだった。

 

なんだか物騒な話だけれど、手紙を読まなければ、何だコレ?

で終わる代物なのだ。

手紙は、順番に読んでもらわねば、私の策略は、失敗する。

 

手紙を封印するときは、Sが、順番に読んでくれるよう

注意書きを書き、そして祈った。

 

「去り行くおばちゃんの、最後の願いを、

どうか、神様聞き届けてください・・・。」と。