そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その55
夕暮れの街を、花束を抱えながら、歩く私。
この通いなれた通りも、地下鉄の駅にも、来ることは
もう、無いのかもね・・・・。
そんな、ちょっとセンチな気分で、電車に揺られていた。
夕方のラッシュのはしりで、少し込み合って来た車内では
定年退職でもなく、もちろん、寿退職でもなさそうな、
微妙な年齢の女性が、大きな花束を持っているのは、
少しばかり一目を引くのだろう。
時折、好奇心に満ちた目線を、感じることがあった。
「まあ、人生いろいろ」
目線の主達に、心の中で応えながら、私は、相変わらず
平静を装っていた。
本当は、凄く、心の中が、空っぽになっていくようで
夕暮れの風景と、相まって、さみしさが溢れてきそうだった。
これから、どうする・・・・私。
勿論、子どもの学校のPTA役員としての役目は、待ち受けている。
でも、それだけでは、何かが、足りない気がしていた。
もう少し、融通の利く、パートを探そうか・・・・。
時間の短いパートなら、両立できそうだし・・・。
落ち着いたら、ハローワークに通って、また仕事探し
しようか・・・・。
家に辿り着き、大きな花瓶に、頂いた花束を飾った。
「綺麗だね~、会社の人に貰ったの?」
無邪気に聞いてくる息子。
「そうよ、綺麗でしょ?」
「明日から、もう会社行かないの?」
「そうよ、もう、会社は行かないわ。」
「そっか。」
何だか、安堵したような息子の声に、これで良かったんだ
と、自分自身に納得させる私が居た。
しばらく、このままでもいいか・・・。
PTAの役員の仕事によっては、かなり時間を取られると
聞いているし・・・。
Sとの激闘に、身も心もクタクタだしね~。(笑)
これでやっと解放されるんだもん。
休んでも、バチは当たるまい!
若い新人さんとの別れは、寂しかったが、あの極悪
女ったらしと、やっと、これで縁が切れるではないか!
そう、目出度いのだ!
心に、40%のアンニュイと、60%の安心感を
抱えて、少しばかり揺れていた私の気持ちだったが、
最後に、安心感に軍配が、上がったのだった。
やっと、安寧の毎日が送れる!
そう思うと、笑みがこぼれてきた。
イライラしなくていい毎日!
Sに振舞わされることのない日々。
そう、私は、そんな「しあわせ溢れる日々」を
思い描いて、安堵した。
そんな安堵が、いとも容易く吹き飛ぶなんて・・・。
この時の私には、そんな近未来を思い描くことなど
到底、できはしなかったのだ。