小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

久々に夢を見た。

ブログを更新せず、放置しっぱなしだったけど・・・。

 

今日、久々に夢を見た。

 

Sの夢だった。

 

 

夢の中で、Sは、新しい任務地へ、赴いていた。

 

何故か、真矢みきさんと一緒に・・・。(笑)

 

真矢さんと、Sが、任務地へ赴任した途端、何故か、会社が

 

倒産してしまい、それを知らされた二人は、途方に暮れていた。

 

何故か、そこに私が居て、「だったら、いっそ起業したらどう?」

 

「きっと、昔の仲間も集まってくれるわよ~。」なんて呑気な事を

 

言っている夢だった。

 

三人で、何故か、高校の校舎へと向かい、そこを暫く拠点にさせて

 

貰うような流れだった。

 

私ときたら、「いや、制服じゃないけど、目だってしまうよね?」

 

なんて、トンチンカンな事を、学生に聞いているのだった。

 

いや、まさか、この歳こいて、セーラー服なんて着た方が、恐ろしいわ!

 

 

 

そう言えば、その校舎で、真矢みきさんが、何か料理作ってたけど・・・。

 

「親子丼」じゃなかったわ・・・・。笑

 

ドラマは見てないけど、よくCMで見るから、夢に出てきたのかしら?

 

 

 

それにしても、放置しっぱなしの、このブログなのに・・・。

 

時々、どこからやってくるのか、そこそこの人数の閲覧者が・・・。

 

 

やっぱり、「ツイン」って検索で、辿り着いているんだろうか・・・。

 

世界のあちこちで、そう思える出会いが、繰り広げられていると

 

いうことなのか・・・。

 

 

 

途中の、どうでもいいディティールは、すっ飛ばして、核心を書いた

 

方がいいのか・・・・。

 

でも、すっ飛ばすと、やっぱり、解り辛いよね・・・・。

 

 

女の敵ともいえるSだけど、ツラツラ悪口書き連ねるのが、もう、

 

メンドクサイやら、しんどいやら・・・。

 

まあ、人の、どうでもいい話を、聞きたい人が、そんなに居るのか・・・。

 

 

そんな物好きな人がいるから、グラフが0にならないんだよね。

 

ありがたくもあり、申訳なくもあり・・・・。

 

 

諸々の手続き、終わったら、また書こうかな・・・。

 

 

 

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑲

「大丈夫かしらね・・・A子ちゃん。」

「まあ、さすがに、初日から、いきなり禁じ手には

出ないでしょうけど・・・。」

「徐々に、間を詰めて・・・・って感じかな・・・。」

 

「やっぱり、20代の女の子から見たら、魅力的に見える

のかね~。」

「そうね・・・私達ぐらいの年齢になると、色々冷静に

見られるんだけど・・・やっぱり若いとね・・・。」

 

そんな会話を、営業のおばちゃんと交わしながら、何気なく

Mの方を見た。

 

Sが、自分のチームで、一番最初に指名したのが、可愛いA子

だったことに、少々不安を感じているのか、電話アポイント

も、集中できない様子だった。

 

「もしも、怪しい雰囲気になったら、Mちゃん、阻止に

動き出すかしら・・・。」

「どうかね~、表立っては、無理じゃないかしら・・・。

一応、先輩だしね・・・。」

 

そんな心配をしつつも、仕事に追われる私達。

夕方になって、やっとSと、A子が帰社した。

 

待ちかねたように、別のチームの新人の子たちが

「どうだった? 上手く行った?」と、興味津々に

矢継ぎ早に、A子に質問する。

 

紅潮した頬に、ポニーテイルを揺らしながら、キラキラした

瞳で、「うん、楽しかったですよ・・・ね・・・所長。」と

Sの方を向いて微笑むA子。

 

「良かった~アポ取れたんだね~、ねえ、どんな話したの?」

 

きっと、別チームの新人達は、お客様とのやり取りを、

逐一聞きたかったのだと思うのだが・・・。

 

しかし、A子は、天然なのか、故意なのか・・・思いもよらぬ

爆弾発言を繰り出した。

 

「もう、すぐに打ち解けちゃって~~、結婚の

話にまで、なっちゃいましたよね~、所長。」

 

この返事に、全員ポカ~ン。

 

しばらくして、「え、どういう事?」

 

「まさか、お客様にプロポーズでもされたの?」

「そんな訳、ないじゃないですかぁ~。」

「それじゃ、一体、どういうこと?」

「所長と結婚の話まで、進んだんですよ~。」

 

「はあああ?」

 

皆、驚きすぎて、絶句。

 

「おいおい、所長が既婚者だって、知ってるよね?

知ってて、愛人も居る、この場で、宣戦布告かい!」

 

と、新人の思わぬ、大胆不敵ぶりに、心で突っ込みを

入れる私。

 

「おいおい、そういう言い方をすると、誤解を招くぞ~。」

まんざらでもなさそうな顔で、ニヤつきながら、Sが、

言葉を挟んだ。

 

「つまり~ドライブ中に、どんな結婚式がしたいかとか~

どういう人が、理想か・・・とか、凄く話が弾んで

楽しかったんですよね~~~~ね、所長。」

 

天然なのか、腹黒なのか・・・。

計りかねる発言だったが・・・。

 

それを聞いて、

「なんだ、そう言う事だったの、びっくりさせないでよ

所長と結婚の約束でも、したのかと思ったわよ~。」と

笑ってくれる、優しい同期に救われたA子だった。

 

勿論、そこに一人だけ、心穏やかならぬ女性が居たことは、

私と、おばちゃんのみぞ知る、秘密だったのだが・・・。

 

その後、A子が、一人での営業が不安だと言うので、

Sのオブザーバーは、3日ほど続けざまに行われた。

 

しかし、さすがのSも、次のかわい子ちゃん新人が

控えているので、A子ばかりに掛かり切りになる訳にもいかず、

「一応、一周ローテーションして、まだ不安のある時には

付き添うから・・・。」と言って、次の子のオブザーバー

に切り替えた。

 

取りあえず、一通り、当たりを試してから・・・。

というのが、どうやらSのセオリーらしかった。

 

営業センスも、女の子の心を掴むトークも、得意中の得意な

Sにとって、営業のオブザーバーなんて、お堅い心構えは

皆無だったことだろう。

 

とにかく、密室で、若い娘と、楽しく車中デート!

ついでに、営業の心得もちょっとは出して、尊敬されちゃおう!

 

そんな、Sの黄金郷時代は、残念ながら、暫くは続くのである。

 

 

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑱

新人の、入社式が無事に終わり、また営業所が

賑やかになった。

 

Sは、実践的な営業のロールプレイを、また一通り

やったあとで、新人たちの営業に、それぞれオブザーバー

として立ち会うと、約束していた。

 

お客さまへ、新人の営業一人一人が、それぞれ電話で

アポイントを取って、営業に伺うのだが・・・。

何せ、ついこの間まで学生だった彼らは、「電話応対」

にも苦戦していた。

顧客データを基に、次々電話を掛けていくのだが、

お客様も、全てが全て、好意的に、受け入れて下さる

訳ではない。

勿論、貴重な、お時間を拝借するのだから、失礼の

ないように、最新の注意を払って、丁寧に、

趣旨を説明するのだが、ガチャギリも、苦情も、

致し方ない事ではある。

しかし、新人の若い子達にとって、これはかなりの

精神的苦痛を伴うものらしい。

私も、苦い経験があるから、気持ちは、

よく解るのだが・・・。

 

実は、彼ら新人が入社する前は、私は事務職でありながら

時々、この電話アポというのを、やらされていた。

しかも、以前の店長や、他の営業職の人たちが、時間を

有効に使えるように、かなりの件数をこなしていたのだった。

なので、意外に、お手の物なのである。

 

会社の説明や、趣旨説明のほかに、お客様がお時間に余裕が

ありそうなら、世間話を交えて、お客様の緊張を解き、

営業が訪問した時に、警戒感なく接して頂けるように、

話題を振っておくのだ。

 

ここが、土地勘のある者の強みである。

子どもの幼稚園近くに、お住まいだったお客様には、

「●●幼稚園のお近くですね・・・とても静かで閑静な住宅街

で、いいところですよね~実は、うちの子も以前

通ってまして・・・。」なんて、話題を振っておくのである。

そうすると、話好きな方は、話題に乗ってくれるし、そこで

話が広がらなくても、余計な警戒感を解いて貰えるのだ。

 

そんな「土地勘」を生かしてアポを取ったお客様には、

「あれ、電話の彼女が、来るかと思ったわ・・。」とか

「よろしく言っておいてね。」と言って頂き、勿論

展示会のご招待のアポイントも、営業が取れる確率が

かなり高くなるのだ。

お陰で、前店長と営業の男性は、自分で取るより確率が

上がるから・・・と私に、仕事を頼んでいたのだった。

 

まずは、電話でアポを取らない事には、何も始まらない。

たかが電話・・・されど電話なのである。

 

二班に分かれているので、アポを取るチームと営業に

出るチームと、曜日を変えて、交互に仕事を行う

スタイルになった。

車は10台なので、二人で一台シェアする形だからだ。

 

さて、Sのチームの子達が、初めて営業に出る日が来た。

「さあ、今日からやっと業務開始だな・・・。」

「最初は、不安だろうから、順番に、オブザーバーとして

一緒について行くから・・・。」

 

「じゃ、まずは・・・A子、一緒に行くか?」

 

そうご指名を受けたのは、美女揃いのSチームの中でも

ひときわ可愛くて、社交的なAだった。

 

Sの、その発言を聞いた途端、私と、営業のおばさんは

思わず、顔を見合わせた。

 

「ああ、やっぱり、あの子から来たわね・・・。」

言葉は交わさなくても、アイコンタクトで、意思疎通が

できるほど、Sの単純な企みは、お見通しだったのだ。

 

本命からは行かない。

可愛いけど、落としやすい隙のある子から、攻略

するつもりなのだ。

 

そして、そんな単純過ぎるSの企みは、思いのほか

成果を上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで、僕らはエイリアンズ 

youtu.be

 

 

youtu.be

 

のんさんの、ラインモバイルのCM曲、一度聞いただけで

魅了されちゃいました。

誰が歌っていらっしゃるのかと探したら、なんと男性二人の

デュエットでした。

随分前に、発売されていた曲だったんですね~。

とても、素敵な声と、世界観。

 

久々に、音楽聞きたいな・・・と思わせてくれました。

 

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑰

研修が終わって、一旦新人さんは、入社式

の為に、本社へと帰ることになっていた。

 

本来なら、4月から、新しいビルへ引っ越す

予定だったのだが・・・。

人手がある内に、引っ越しを済ませてしまおう

という事になり、自分たちで運べる物は、台車

に乗せて、歩いて引っ越すことになった。

 

経費節減という名目だったが、引っ越す先が

目と鼻の先ぐらい近かったのも、理由の一つ

に違いない。

 

新人たちは、この歩いてお引越しも、それなりに

楽しんだようだ。

キャスター付の椅子は、そのまま、ガラガラ

引っ張って、歩道を歩いて行く。

若者が、十数名、そんな感じで連なっていくのを

通りがかる人たちは、物珍しそうに見つめていた。

 

軽い物はいいのだけれど、据え置きの金庫が、

どうにも重くて、私は、四苦八苦していた。

私の、体重をかけても、全く、びくともしない。

 

そんな様子に気付いた、新人の男性陣が、

「僕たちが運びますよ~、瑠璃さん、座ってて

ください。」って声を掛けてくれた。

 

ああ・・・いいなぁ~、若いって・・・。

ああ・・・いいなぁ~、素直って・・・。

 

還暦の、鬼のようなオババに、あらん限りの

苛めを受けた、私の心に、彼らの、爽やかな

思いやりの心が、染み入っていく。

 

ついつい、女子のことばかり心配していたけど

男子の事も、考えてあげないとな・・・と、

改めて、思った。

 

そう、彼ら新人男子軍団も、思いもよらない形で

影響を受けていくのである。

 

贔屓の引き倒しとは、よく言うけど・・・。

あんな、あからさまな態度で、恥ずかしく

無いもんだ!

 

後々、私は、Sに対して、そう憤慨することに

なるのだ。

 

新人が入って来て、総勢20名になることもあり、

前所長で、降格され係長になっていたYも、所長に

返り咲き、Aチーム・Bチームと二班体制に分かれて

営業活動を行うことになった。

 

もちろん、そのチームの人選を決めるのは、Sだ。

当然と言わんばかりに、新人女子の中でも、

トップクラスの美女を、自分のチームへ配置していた。

Yが担当するBチームには、以前から在籍していた

大人チームを中心に、Aチームの選に漏れた新人男子

と、意外な事に、愛人のMを配属した。

 

あらら以外・・・。

 

しかし、これは、Sの次なる布石であることに

私は、気付いた。

Sは、既に、新人女子の中から、次のターゲットを

見定め、ロックオン状態にするために、Mを遠ざけた

のだと気づいたのだ。

 

悲しいかな・・・私の、この予測は的中してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑯

4月に、新入生が、男女それぞれ7名、合計14名も

入社してくるということで、現在の事務所では、

とても手狭になってしまう。

 

今の事務所に越してから、まだ半年も経たない状況

だったが、Sの方針で、4月に転居することとなった。

解約申し入れを、ビルのオーナーにしたところ、

烈火のごとく抗議されてしまった。

 

オーナーにしてみれば、一部上場の会社が、ビルに入り

安定した家賃が入るとばかり思っていたのに、一年どころか

半年で出ていくなんて、想像できなかったのだろう。

 

兎に角、平謝りし、撤去費用などは、こちらで持ちますと

誠心誠意、言葉を尽くした。

しかし、撤去する当日まで、オーナーのボヤキは、

止まらなかった。

 

「オタクみたいな、一部上場の会社がやる事じゃないよ!」

 

そんな捨て台詞も、甘んじて受け取った。

当のSは、4月の新入生の事で、頭が一杯なのか、ビルの

オーナーの言葉など、全く意に介していないようだった。

 

3月の間だけ、新人さんは、研修という名目で、二週間ほど

古い事務所で我慢してもらうことになった。

 

新人の男女は、どの子も、明るくて、素直で、すれっからしの

オバちゃん軍団に、右往左往させられてきた、私にとっては、

眩しすぎる存在だった。

女の子は、おしなべて、皆美人だ。

(顔で選んだね・・・)と思ったくらいである。

学歴も高い。

九大、横浜国立大、長崎大と、国立の大学出身者も

多かった。

Sと言えば、すっかり新入生の、よき指導者の「顔」を彼らに

見せており、まさに上っ面だけは、素晴らしい上司に見えていた

ことだろう。

 

はいはい、その「良き上司」の仮面、脱がないでくださいよ!

思わず、私は、そう願わずにはいられなかった。

 

尊敬される、ちょっと素敵なお兄様・・・そのままで居てくれれば

Mとの不倫劇場を、場外でやってくれれば、私達大人チームは、

見て、見ないふりをすることができるのだから・・・。

 

そんな無理な願いが、叶わぬことは、私は、誰よりも解っていた

筈なのに・・・。

 

 青春群像みたいな、若き教師と生徒達の、生き生きとした

笑顔に、つい期待してしまうのだった。

実際、研修の手腕は、Sの最大の長所とも思えるぐらい、

手際も良く、きちんと計算されたものだった。

決して、堅苦しかったり、体育会系にありがちな

ド根性丸出しの、営業スタイルの為の鍛え方でもなかった。

適度に、笑いを交えつつ、時には、鋭い指摘もしつつ、

14名の男女を導いていく姿には、辛口の私も絶賛するしか

なかったくらいだ。

14名の新入生も、すっかり、新しい、若々しい上司に、心

奪われているのが、読み取れた。

 

ああ、ここから、Sの正体を、どれだけ隠していけるのか・・・。

Sの毒牙に掛からぬよう、どうやって、あの娘たちを守って

いけるのか・・・。

まるで、母親になったような気持ちで、私は、思いを

廻らせていた。

若いと言っても、二十歳過ぎた大人だ。

個人の問題に、ヅカヅカと土足で、介入する訳には

いかないのだ。

しかし、Sは、見た目は若いけど、こと色恋に関しては、

老練な策士なのだ。

二十歳そこそこの女子に、それが見破れるかどうか・・・。

 

「とうとう、その時が来ちゃったね・・・。」

私は、もう一人の、オバちゃんと、決意を新にしていた。

「綺麗な子ばかりよね~。」

もう一人のオバちゃんも、心配していた。

 

取りあえず、やれるだけの事はやろうね・・・。

そう、二人で再度、誓いあったのだった。

 

 

 

 

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑮

俗な言い方をすると、「現地妻」という座を手に入れた

Mだったが、当のご本人は、その座が、決して安泰ではない

ということに、薄々、気づいてはいたようだった。

 

なにせ、4月になれば、若くてピチピチの二十代女性が、七人も

見山するのだ!

彼女達に、今の座を奪われてなるか・・・というような焦りを

Mは、少なからず、私達にも、感じさせてしまうのだ。

 

本来なら、何の警戒対象ですらない筈の、オバちゃんズの私

にすら、Mの警戒心は向けられることもあった。

 

営業であったMは、どうしても外勤になってしまう。

多くの営業が出払ってしまった後は、否応なくSと事務の私

だけが、取り残されてしまうのだ。

 

別段、仕事話と、少しばかりの雑談しか、交わす言葉は

無いのだが・・・。

Mにとっては、それすら、気になって仕方なかったのだろう。

 

彼女は、1~2時間おきに、何か用事を作って、チョコチョコと

事務所に戻って来ていた。

一度営業に出たら、3~4時間は戻らず、順序だてて

ルートを回った方が、効率的なのだが・・・。

 

一度など、事務所の入り口のドアの後ろに佇んで、

私とMの会話を、立ち聞きしていたことすらあった。

 

「どんなに上手に隠れても、大きなシッポが見えてるよ~」♪

 

何だか、そんなMが、憐れでもあり、こっけいでもあった。

 

妻も、愛人も、結局、心が晴れる日が無いのよね・・・きっと。

Sという、とんでもドンファンに関わった女性は、修羅の日々を

送ることになるのだ。

 

そんな、修羅の日々の証拠のように、Sの携帯のコールは、

就業中も、鳴りやむことがなかった。

「所長、携帯鳴ってますよ。」と私が促しても、Sは、頑なに

電話に出ることが無かった。

 

さりとて、電源を切る訳でも無く、コール音は、相手の執念の

数だけ、延々と鳴ることもあったのだ。

 

見かねて、「どうして出ないんですか?」と、思い切って

尋ねてみたことがあった。

「いや・・・相手が解ってるからさ・・・出ないんだ。」

 

何だか、訳の分からない事を言うSだったが・・・。

 

それは、仮初の恋、一夜の情事、ほんの乗りのフィジカルな関係

と、Sが次々と女性に手を出し、挙句の果てに、たいして別れ話も

せぬまま、相手を放置してきたから、こういう事態に陥って

いるのだった。

 

せめて、別れ話ぐらい、きちんと相手に向き合ってしていれば

ここまで、嵐のようなコール音は、響くまい。

 

「いっそ、着信拒否にしたら、如何ですか?」

そんな見透かしたような私の提案に、Sは、「いや・・・大丈夫」

と、短く答えるだけだった。

 

別れベタな奴は、ドンファンを名乗る資格ないな!

相手に嫌われて、振られるのが、一番の別れ方よ。

 

そんな私の冷酷な「心の呟き」を、Sは、知る由も無かった。