そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑰
研修が終わって、一旦新人さんは、入社式
の為に、本社へと帰ることになっていた。
本来なら、4月から、新しいビルへ引っ越す
予定だったのだが・・・。
人手がある内に、引っ越しを済ませてしまおう
という事になり、自分たちで運べる物は、台車
に乗せて、歩いて引っ越すことになった。
経費節減という名目だったが、引っ越す先が
目と鼻の先ぐらい近かったのも、理由の一つ
に違いない。
新人たちは、この歩いてお引越しも、それなりに
楽しんだようだ。
キャスター付の椅子は、そのまま、ガラガラ
引っ張って、歩道を歩いて行く。
若者が、十数名、そんな感じで連なっていくのを
通りがかる人たちは、物珍しそうに見つめていた。
軽い物はいいのだけれど、据え置きの金庫が、
どうにも重くて、私は、四苦八苦していた。
私の、体重をかけても、全く、びくともしない。
そんな様子に気付いた、新人の男性陣が、
「僕たちが運びますよ~、瑠璃さん、座ってて
ください。」って声を掛けてくれた。
ああ・・・いいなぁ~、若いって・・・。
ああ・・・いいなぁ~、素直って・・・。
還暦の、鬼のようなオババに、あらん限りの
苛めを受けた、私の心に、彼らの、爽やかな
思いやりの心が、染み入っていく。
ついつい、女子のことばかり心配していたけど
男子の事も、考えてあげないとな・・・と、
改めて、思った。
そう、彼ら新人男子軍団も、思いもよらない形で
影響を受けていくのである。
贔屓の引き倒しとは、よく言うけど・・・。
あんな、あからさまな態度で、恥ずかしく
無いもんだ!
後々、私は、Sに対して、そう憤慨することに
なるのだ。
新人が入って来て、総勢20名になることもあり、
前所長で、降格され係長になっていたYも、所長に
返り咲き、Aチーム・Bチームと二班体制に分かれて
営業活動を行うことになった。
もちろん、そのチームの人選を決めるのは、Sだ。
当然と言わんばかりに、新人女子の中でも、
トップクラスの美女を、自分のチームへ配置していた。
Yが担当するBチームには、以前から在籍していた
大人チームを中心に、Aチームの選に漏れた新人男子
と、意外な事に、愛人のMを配属した。
あらら以外・・・。
しかし、これは、Sの次なる布石であることに
私は、気付いた。
Sは、既に、新人女子の中から、次のターゲットを
見定め、ロックオン状態にするために、Mを遠ざけた
のだと気づいたのだ。
悲しいかな・・・私の、この予測は的中してしまう。