そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その51
そう、問題は、Sへのアプローチの方法。
なにせ、老練で悪知恵働く、ドンファンのSが相手なのだ。
正攻法で行ったって、撃沈するだけだ。
さりとて、浮ついた手練手管など、完全に見透かされて
しまうに違いない。
冷徹な策士のおばちゃん VS 老練悪徳女たらし
なかなかな好カードですな!
私は、半分祈るような乙女の如く、真摯に、誠実に、
そして半面、どこか悪女のように強かに、「企み」を
こっそり織り込みながら、手紙を綴っていった。
Sは、手紙に精通している。
人の心のひだに、上手く忍び込むことにも、精通
している。
そんな、一枚も二枚も上手なSに、私の「企み」を
隠しつつ、長い長い手紙を、最後まで読ませること
ができるのだろうか・・・・・。
何度も何度も、自問自答しながら、手紙を書いては
破り書いては破り・・・・。
(あらやだ~、人生一度っきりのラブレター書いた時より
頑張ってるじゃん、わたし。)
それにしても、書き出しが難しいな・・・。
何せ、Sと私は、バチバチの宿敵同士ではないか!
入り方を間違うと、一枚目で、破り捨てられる可能性も
否めないのだ。
で、仕方なく伝家の宝刀を抜くことに・・・。
「S所長、S所長との出会いは、まさに衝撃でした・・・。」
(お~~~い、ラブレター書いとんかい!)
はい、掴みはOK!
自分で、呆れて突っ込みながらも、最初の一行を書いたことで
私の肝は据わり、二十数枚に渡る、長い手紙を一気に
書き上げたのだった。