そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑩
私は、家のお風呂にゆっくり浸かりながら、今日起こった
不思議な出来事を、考えていた。
一体、何が起こって、自分の感情や、体の制御が効かなくなって
しまったのだろうか・・・・と。
誰の説だったか忘れたが・・・。
汗の成分には、その人のDNA情報が含まれていて、相手のDNA情報を
知らず知らずのうちに、判断して、自分にとって敵なのか味方なのかを
判断できるのだとか・・・。
男女間で言うと、自分のDNAと、尤も遠い種類のDNA配列の人を、
好ましい相手と判断するらしい。
はて・・・・そういう理由で、震えと涙が出たんだろうか・・・?
だとしたら、有り得ないぐらい、離れた種類のDNA配列だったって
ことだよね~。
奴は、宇宙人か!? (爆)
当時の私は、まだツインソウルという概念を、知らなかった。
ただ、前世は信じており、おそらく前世でご縁があったから、こうして
出遭って、その前世を知っている「魂」が、泣いたのかも・・・という
結論に達したのだった。
ただ、そう考えても、まだ引っかかる何かが、残っている気がした。
前世だけだったのかな・・・・・。
何となく、今世でも、どこかで会った事があるような気がして、仕方なかった。
私は、過去の自分の記憶を、ゆっくりと辿ってみたものの、はっきりとした
記憶は、蘇って来なかったのだった。
こんな不思議な状態に、同時に陥ってしまうという、共通の体験をした
私達だったが、月曜日の、通常の業務に戻ると、何事も無かったかのように
お互い、振舞った。
だってね~、説明のつかない事象を共有したからって、急に距離が
縮まるという訳でも無いし・・・。
縮まりたくもないっていうのが本音。
(ただでさえ、距離感が近いんだもの!)
ただ、その現象のことは、何となく、お互い気にしている気配は
感じていた。
そんな気配を知ってか知らずか・・・。
二十代Mの、アピールが、日に日に、あざとくなっていった。
「ねえねえ、所長~~、明日、お休みじゃないですか~
どっか一緒に、出掛けましょうよぉ~。」
「え~、どっか行くって言ってもさ、俺、こっちの土地勘
殆ど無いんだぜ。」
「どっか楽しい場所とか、お勧めの所とかある?」
まんざらでも無さげに、答えるSに、Mは、ここぞとばかり
ちょっと遠方の場所を勧めてきた。
「隣の県になるんですけど~、吉野ケ里遺跡とかどうですか?
櫓とか、出土した古い時代の遺跡とか、展示してあって
公園にもなってるし・・・楽しいと思うんですよね~。」
このMの申し出に対するSの答えは、意外なものだった。
「あ、吉野ケ里ね・・・俺、昔、行った事あるわ。」
「え~~~っ、行ったことあるんですかぁ~。
土地勘無いって言ったじゃないですか~~~。
北関東に住んでたのに、何で、あんな田舎に行ったこと
あるんですか~?
まさか・・・・・彼女と旅行・・・・とか?」
ちょっと拗ねたような素振りで、口を尖らして尋ねるMに
「まあね・・・昔・・・ちょっと・・・。」
Sは、そう答えると、黙り込んだ。
Sの想定外な答えを聞いて、私の中で、何かが、弾けた気がした。
「昔って、どれぐらい昔なんですか?」
思わず、私は、そう尋ねていた。
「そうだな・・・二十歳の頃だったかな・・・。」
「随分前ですね・・・そう言えば、私も、一度だけ友達に誘われて
行ったことありましたわ。」
私の答えを聞いていたSは、急に
「他にさ、もっと楽しそうなとこ無いの?」と話題を変えた。
「え~~、じゃ、今日、カラオケいきましょうよ~。」
「一緒に歌いたいし・・・。」
「カラオケね~・・・考えとくわ。」
誇りを被った、セピア色のフィルムが、カラカラと音を立てて
回りだしたような、そんな感覚が、私の中に芽生えた。
やっぱり・・・出遭っていたんだ。