小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑩

私は、家のお風呂にゆっくり浸かりながら、今日起こった

不思議な出来事を、考えていた。

 

一体、何が起こって、自分の感情や、体の制御が効かなくなって

しまったのだろうか・・・・と。

 

誰の説だったか忘れたが・・・。

 

汗の成分には、その人のDNA情報が含まれていて、相手のDNA情報を

知らず知らずのうちに、判断して、自分にとって敵なのか味方なのかを

判断できるのだとか・・・。

 

男女間で言うと、自分のDNAと、尤も遠い種類のDNA配列の人を、

好ましい相手と判断するらしい。

 

はて・・・・そういう理由で、震えと涙が出たんだろうか・・・?

 

だとしたら、有り得ないぐらい、離れた種類のDNA配列だったって

ことだよね~。

 

奴は、宇宙人か!? (爆)

 

当時の私は、まだツインソウルという概念を、知らなかった。

 

ただ、前世は信じており、おそらく前世でご縁があったから、こうして

出遭って、その前世を知っている「魂」が、泣いたのかも・・・という

結論に達したのだった。

 

ただ、そう考えても、まだ引っかかる何かが、残っている気がした。

 

前世だけだったのかな・・・・・。

 

何となく、今世でも、どこかで会った事があるような気がして、仕方なかった。

私は、過去の自分の記憶を、ゆっくりと辿ってみたものの、はっきりとした

記憶は、蘇って来なかったのだった。

 

 

こんな不思議な状態に、同時に陥ってしまうという、共通の体験をした

私達だったが、月曜日の、通常の業務に戻ると、何事も無かったかのように

お互い、振舞った。

だってね~、説明のつかない事象を共有したからって、急に距離が

縮まるという訳でも無いし・・・。

縮まりたくもないっていうのが本音。

(ただでさえ、距離感が近いんだもの!)

 

ただ、その現象のことは、何となく、お互い気にしている気配は

感じていた。

 

そんな気配を知ってか知らずか・・・。

 

二十代Mの、アピールが、日に日に、あざとくなっていった。

 

「ねえねえ、所長~~、明日、お休みじゃないですか~

どっか一緒に、出掛けましょうよぉ~。」

「え~、どっか行くって言ってもさ、俺、こっちの土地勘

殆ど無いんだぜ。」

「どっか楽しい場所とか、お勧めの所とかある?」

 

まんざらでも無さげに、答えるSに、Mは、ここぞとばかり

ちょっと遠方の場所を勧めてきた。

 

「隣の県になるんですけど~、吉野ケ里遺跡とかどうですか?

櫓とか、出土した古い時代の遺跡とか、展示してあって

公園にもなってるし・・・楽しいと思うんですよね~。」

 

このMの申し出に対するSの答えは、意外なものだった。

 

「あ、吉野ケ里ね・・・俺、昔、行った事あるわ。」

 

「え~~~っ、行ったことあるんですかぁ~。

土地勘無いって言ったじゃないですか~~~。

北関東に住んでたのに、何で、あんな田舎に行ったこと

あるんですか~?

まさか・・・・・彼女と旅行・・・・とか?」

 

ちょっと拗ねたような素振りで、口を尖らして尋ねるMに

 

「まあね・・・昔・・・ちょっと・・・。」

 

Sは、そう答えると、黙り込んだ。

 

Sの想定外な答えを聞いて、私の中で、何かが、弾けた気がした。

 

「昔って、どれぐらい昔なんですか?」

思わず、私は、そう尋ねていた。

 

「そうだな・・・二十歳の頃だったかな・・・。」

 

「随分前ですね・・・そう言えば、私も、一度だけ友達に誘われて

行ったことありましたわ。」

 

私の答えを聞いていたSは、急に

 

「他にさ、もっと楽しそうなとこ無いの?」と話題を変えた。

 

「え~~、じゃ、今日、カラオケいきましょうよ~。」

「一緒に歌いたいし・・・。」

 

「カラオケね~・・・考えとくわ。」

 

誇りを被った、セピア色のフィルムが、カラカラと音を立てて

回りだしたような、そんな感覚が、私の中に芽生えた。

 

 

 

やっぱり・・・出遭っていたんだ。