小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㊺

会社では、相変わらず、何事も無かったかのように

淡々と仕事し、家に帰ってからは、家事をこなし、息子が

寝た後で、新人さんたちへの「最初で最後の手紙」を

書き綴っていた。

 

一人一人に、思うことがあって、ついつい手紙が

長くなりがちだったが、一枚一枚、心を込めて

書いていった。

 

仕事は、フルタイムでも、パートは、パートだ!

仕事の最終日に、一同に、お別れを言えるかどうか

なんて分からない。お別れが、言えなかった時の

事を考えて、それぞれに、ひっそりお手紙を

手渡すことも、視野に入れていたのだ。

 

そんなことも、露知らず、仕事に慣れてきた新人さん

達は、仕事の合間の、ちょっとした世間話に花を

咲かせていた。

 

「ああ、何かさ~、恋愛したいよね・・・。」

「うん、そうだね、仕事ばっかりだと、ちょっと参る。」

 

「瑠璃さん~、瑠璃さんの若い頃って、どんな恋愛

してました?」

 

「え~藪から棒に・・・何で、そんな、人の昔ばなし

聞きたいかな~?」(苦笑)

「だって、興味ありますもん。」

 

「そうねぇ~、私、片思いが多くてね、語れるような

楽しい思い出って、ほとんど無いわ~。」

 

「そんな事ないでしょう?」

 

「いや、そんな事ある!」( ー`дー´)キリッ

 

「今だって、誰かが、瑠璃さんの事、好きかも

知れないじゃないですかぁ~。」

 

「んなバカな!、そんな奇特な人がいるんだったら

是非一度、お目にかかってみたいものだわ~。」(大爆)

 

そんな私の、答えを受けて、何故か、新人女性の数人が

一斉にSの方へと、視線を向けた。

そして、その内の一人が、意味ありげに呟いた。

 

有馬温泉・・・。」

 

呟いた、新人さんは、まるで、

「私、解ってますよ!」と言わんばかりの、自信に満ちた

表情を浮かべていた。

 

「あ・り・ま・お・ん・せ・ん」

 

その七文字の響きは、私に、鋭い雷鳴のような閃きを

齎した。

 

古びて、錆びついていた記憶のオルゴールが、急に

音を立てて回り始めていた。