そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㊺
会社では、相変わらず、何事も無かったかのように
淡々と仕事し、家に帰ってからは、家事をこなし、息子が
寝た後で、新人さんたちへの「最初で最後の手紙」を
書き綴っていた。
一人一人に、思うことがあって、ついつい手紙が
長くなりがちだったが、一枚一枚、心を込めて
書いていった。
仕事は、フルタイムでも、パートは、パートだ!
仕事の最終日に、一同に、お別れを言えるかどうか
なんて分からない。お別れが、言えなかった時の
事を考えて、それぞれに、ひっそりお手紙を
手渡すことも、視野に入れていたのだ。
そんなことも、露知らず、仕事に慣れてきた新人さん
達は、仕事の合間の、ちょっとした世間話に花を
咲かせていた。
「ああ、何かさ~、恋愛したいよね・・・。」
「うん、そうだね、仕事ばっかりだと、ちょっと参る。」
「瑠璃さん~、瑠璃さんの若い頃って、どんな恋愛
してました?」
「え~藪から棒に・・・何で、そんな、人の昔ばなし
聞きたいかな~?」(苦笑)
「だって、興味ありますもん。」
「そうねぇ~、私、片思いが多くてね、語れるような
楽しい思い出って、ほとんど無いわ~。」
「そんな事ないでしょう?」
「いや、そんな事ある!」( ー`дー´)キリッ
「今だって、誰かが、瑠璃さんの事、好きかも
知れないじゃないですかぁ~。」
「んなバカな!、そんな奇特な人がいるんだったら
是非一度、お目にかかってみたいものだわ~。」(大爆)
そんな私の、答えを受けて、何故か、新人女性の数人が
一斉にSの方へと、視線を向けた。
そして、その内の一人が、意味ありげに呟いた。
「有馬温泉・・・。」
呟いた、新人さんは、まるで、
「私、解ってますよ!」と言わんばかりの、自信に満ちた
表情を浮かべていた。
「あ・り・ま・お・ん・せ・ん」
その七文字の響きは、私に、鋭い雷鳴のような閃きを
齎した。
古びて、錆びついていた記憶のオルゴールが、急に
音を立てて回り始めていた。