そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その⑤
Sの恐ろしい能力の、片鱗を見た私は、最年長のオバサンさんと
Sの対策本部を、こっそり立ち上げることにした。
「不味いわよね・・・このままだと・・・。」
「どうやら単身赴任になるみたいよ・・・。」
「うわ~お目付け役、来ないのね~。」
「奥さん、心配じゃないのかしら?」
「むしろ、自分の目の前で浮気を見たくないってタイプ
なのかしら?」
「いやいや、それにしたって、初めての単身赴任で
しかも九州なんだから、一度くらい様子を見に来て、
準備ぐらいやるでしょうに・・・。」
しかし、Sの奥さんは、Sの単身赴任の支度はおろか、
その費用すら、ロクに彼に渡していないようだった。
「どうしょうかな・・・冷蔵庫、洗濯機にレンジぐらいは
最低でも用意しないと、ダメだよなぁ~。」
そんなSの独り言に、早くも反応し、そそくさと世話を
焼きたがる、現地妻候補が、早くも現れていた。
「あ~、私、一人暮らししていた時のレンジとか
ありますけど、良かったら、使います~?♡」
「あ~ほんとに?助かるわ~。」
「あと冷蔵庫と洗濯機だな・・・瑠璃さん、安い電気屋知ってる?」
「そうですね・・・このご近所だと●●電器さんが、安い量販店なので
色々種類があると思いますけど・・・。」
そんな会話をしながら、年長のおばさんとの極秘対策本部では
ひっそりと、議論が進んでいた。
「やっぱり不味いわよ~、もうMちゃん、完全メロメロよね?」
「4月には、新人の女の子が7人も入ってくるっていうのに
所内に、不倫の空気が漂うのは、御免被りたいわ・・・。」
「私達、おばちゃんなら、そういう対象にもならないし、
噂にもならないから、一応、単身赴任の準備ぐらいは
一緒に、してあげようか?」
「Mちゃんに任せたら、ほぼ一月で、アウトだと思うわよ。」
私達、おばちゃんチームは、何とかSの女性遍歴ライフワークを
所内で発動させないように、最新の注意を払うことにした。
しかし、年長のおばちゃんが、何を思ったか突然、
「私さ、やっぱり、単身赴任の手伝い辞めるわ~
何か起こったって、もういい、高見の見物させてもらうわ~。」
と、まさかの手のひら返し。
「それはないでしょ~~~。」
「知らんよ~、ここで危ない芽は摘んでおかないと、後々
大変な思いをすることになるわよ~。」
そう、説得してはみたのだが、最年長のおばちゃんは、頑として
考えを変えることはなかった。
今から思えば、この最年長のおばちゃんも、既にSの魔力に
取りつかれてしまっていたのかも、しれなかった。
そして、私の予言どおりに、大変な事態へと発展していく
のである。
「だから、言ったじゃないの!」
そんな言葉が、私の口から出るのは、そう遠い未来ではなかったのだ。