小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㉗

奥さんと子どもさんが、来福する少し前、Sは、

久しぶりに会う家族の為、家族孝行よろしく

色々、プランを練っていたようだった。

 

「ねえ、瑠璃さん、子どもが、楽しく遊べる場所とか

ないかな~。」

「そうですね、お子さんが、思いっきり公園とかで、

体を動かして、遊具で遊びたいなら、博多の森東平尾公園)とか

いいかもですね~。長い滑り台とか、遊具もありますし。」

「そこって遠いの?」

「そうですね、ちょっと車ないと不便ですね・・・。」

 

「じゃ、もっと近場で・・・。」

「だったら、観覧車とかどうですか?」

「アジア一大きい観覧車と、小ぶりな観覧車二つあって、

眺めもいいですし、海沿いで、風が気持ちいいんですよ。

それにレストランとか、ちょっとした商業施設もありますよ。」

 

「いいね~。」

「そこどこ? 近い?」

「マリノアシティって言うんですけど、地下鉄の最寄り駅から

確か、バスが出てたと思いますよ。」

「あ、良かったら、観覧車の無料チケット頂いたんで、

使いますか?」

「え、本当? いいの?」

「はい、もう一回乗っちゃったんで、高所恐怖症の私としては

もう、お腹いっぱいですから、ご遠慮なくどうぞ!」

私は、財布に、入れっぱなしにしていたチケットを、手渡した。

 

「サンキュ~助かるわ。」

「よく、そこ行くの?」

「まあ、家から近いので、時々、買い物とか行きますね。」

 

「家、近いんだ・・・。」

「まあ、ギリギリ歩けなくはないかな・・・って感じですが。」

「戸建て?それともマンション?」

「マンションですよ。」

「海近物件で、すごく気に入ってます。」

「建物何色?」

「茶色ですけど・・・何か・・・。」

「いや、別に・・・。」

 

Sの知らないところで、色々な思惑が揺れているのも知らず

「以外に子煩悩」という、一面を覗かせつつ、能天気な

までに、浮かれた調子を見せるSに、私は、複雑な思いが

湧いた。

 

なんで、家族別々に住むことになったんだろう・・・。

まだ、お子さんは、小学校就学前だし、一緒に家族揃って

福岡に来ていれば、波風立つことも、なかったかも

知れないのに・・・・。

 

つかの間の家族ランデブーが終わり、何事も無かったかのように

また、いつもの日常が戻ってきた。

 

「瑠璃さん、この間はありがとう。坊主達、物凄く喜んだよ。」

「そうですか、それは良かったです。お役に立てて・・・。」

「ゆっくり出来ましたか?」

「うん、あそこ気持ちいいよね~、海も綺麗だし、風も気持ち

良いし、あんなとこ住めたらいいよね。」

 

「マリノアシティから、ちょっと歩けば、住宅街ありますよ。」

「お子さんも、小さいから、ご一緒に引っ越して、住んだら

楽しいと思いますよ。」

 

「うん・・・でも、奥さんが転勤、嫌がっててね・・・。」

「そうですか・・・、お子さんが小さいうちは、できれば

一緒に暮らした方が、いいと思いますけどね・・・。」

 

「それにしても、良い景色だったな・・・観覧車からの眺め。」

 

 

「思わず・・・・探しちゃったよ。」

 

「・・・・何を?」

 

「近くに住んでる・・・・って言ってたからさ・・・。」

 

「え・・・ああ・・・そうですか・・・。」

 

「まあ、解んなかったけどね・・・。」

 

そりゃそうだ。

あの辺り、360度 マンションは一杯あるし、

茶色のマンションだって、珍しくない。

 

しかし、その科白、もしかして、

私への、お礼の積りなのかしら?

 

ゴメンね、ときめかなくて。(爆)