そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㉗
奥さんと子どもさんが、来福する少し前、Sは、
久しぶりに会う家族の為、家族孝行よろしく
色々、プランを練っていたようだった。
「ねえ、瑠璃さん、子どもが、楽しく遊べる場所とか
ないかな~。」
「そうですね、お子さんが、思いっきり公園とかで、
体を動かして、遊具で遊びたいなら、博多の森(東平尾公園)とか
いいかもですね~。長い滑り台とか、遊具もありますし。」
「そこって遠いの?」
「そうですね、ちょっと車ないと不便ですね・・・。」
「じゃ、もっと近場で・・・。」
「だったら、観覧車とかどうですか?」
「アジア一大きい観覧車と、小ぶりな観覧車二つあって、
眺めもいいですし、海沿いで、風が気持ちいいんですよ。
それにレストランとか、ちょっとした商業施設もありますよ。」
「いいね~。」
「そこどこ? 近い?」
「マリノアシティって言うんですけど、地下鉄の最寄り駅から
確か、バスが出てたと思いますよ。」
「あ、良かったら、観覧車の無料チケット頂いたんで、
使いますか?」
「え、本当? いいの?」
「はい、もう一回乗っちゃったんで、高所恐怖症の私としては
もう、お腹いっぱいですから、ご遠慮なくどうぞ!」
私は、財布に、入れっぱなしにしていたチケットを、手渡した。
「サンキュ~助かるわ。」
「よく、そこ行くの?」
「まあ、家から近いので、時々、買い物とか行きますね。」
「家、近いんだ・・・。」
「まあ、ギリギリ歩けなくはないかな・・・って感じですが。」
「戸建て?それともマンション?」
「マンションですよ。」
「海近物件で、すごく気に入ってます。」
「建物何色?」
「茶色ですけど・・・何か・・・。」
「いや、別に・・・。」
Sの知らないところで、色々な思惑が揺れているのも知らず
「以外に子煩悩」という、一面を覗かせつつ、能天気な
までに、浮かれた調子を見せるSに、私は、複雑な思いが
湧いた。
なんで、家族別々に住むことになったんだろう・・・。
まだ、お子さんは、小学校就学前だし、一緒に家族揃って
福岡に来ていれば、波風立つことも、なかったかも
知れないのに・・・・。
つかの間の家族ランデブーが終わり、何事も無かったかのように
また、いつもの日常が戻ってきた。
「瑠璃さん、この間はありがとう。坊主達、物凄く喜んだよ。」
「そうですか、それは良かったです。お役に立てて・・・。」
「ゆっくり出来ましたか?」
「うん、あそこ気持ちいいよね~、海も綺麗だし、風も気持ち
良いし、あんなとこ住めたらいいよね。」
「マリノアシティから、ちょっと歩けば、住宅街ありますよ。」
「お子さんも、小さいから、ご一緒に引っ越して、住んだら
楽しいと思いますよ。」
「うん・・・でも、奥さんが転勤、嫌がっててね・・・。」
「そうですか・・・、お子さんが小さいうちは、できれば
一緒に暮らした方が、いいと思いますけどね・・・。」
「それにしても、良い景色だったな・・・観覧車からの眺め。」
「思わず・・・・探しちゃったよ。」
「・・・・何を?」
「近くに住んでる・・・・って言ってたからさ・・・。」
「え・・・ああ・・・そうですか・・・。」
「まあ、解んなかったけどね・・・。」
そりゃそうだ。
あの辺り、360度 マンションは一杯あるし、
茶色のマンションだって、珍しくない。
しかし、その科白、もしかして、
私への、お礼の積りなのかしら?
ゴメンね、ときめかなくて。(爆)