小さき森を愛する花  瑠璃唐草物語

瑠璃唐草の別名はネモフィラ。ギリシャ語のNemophila は、ギリシャ語の 「nemos(小さな森) + phileo(愛する)」が 語源とされています。そんな愛らしくも健気な花のように生きていきたいと思います。

そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㉕

新人が入り、フレッシュな接客に惹かれたのか、展示会を重ねる度に、

新しいお客様が、増えて行った。

勿論、それに伴って、お客様が組むローンの手続きも増えてくる。

Tさん一人体制では、難しくなり、新たに信販会社から、もう一人

派遣されるようになった。

今回派遣されたのは、Tさんよりも、一回り若い女性。

勿論、美人の産地「博多」の名を汚さない、超美人さんである。

フジテレビの「めざましテレビ」に出てる久慈 暁子

さんみたいなタイプだ。

 

ただ、このあたりから、Tさんの明るさに、若干翳りが

生じてきたように思う。

 

「あ~あ、私達ぐらいの年齢になるとさ、ガードル履いても

もう、おなかのぽっこり、誤魔化しようがないわね~。」

「何いってるの~Tさん、スレンダーじゃないのよ~。

そんな事言われたら、私は、どうしたらいいのよ~。」

私なんか、ガードル履いても、履かなくても、タヌキ腹

に変わりないんだから~~~~。」

 

そう、笑いながら励ましても、彼女の顔は、何故か、

浮かないままだった。

 

「結婚して、子どもとかできて、しばらく経つと、どうして

なくなっちゃうんだろうね・・・。」

 

「あ・・・」

 

Tさんが、ご主人に対して、不満を持っているということは

薄々感じてはいたのだが、その一因が、セックスレスだった

事に気付き、私は、何故か、ちょっと、ほっとしていた。

 

「みんな、そんなもんだと思うわよ~。」

「一緒に暮らしていると、もう男女って感じじゃなくなるもんね。」

 

こんな科白が、決してTさんの慰めにはならないことは、解って

いたのだが、これは、日本人夫婦には、結構ありがちな悩みだと

思う。

 

「最近さ、S所長冷たいよね~。」

「え何で? 何か嫌な事言われたの?」

 

「そうじゃないけどさ・・・・、ちょっと前まで、私のこと

綺麗だとか、若く見えるとか、誉めてくれたのにさ、今は

全く、目線すら合わないわ。」

「若い子が来たら、もう、そっちしか、目に入らないって

感じよ。」

「ああ、新人さんね! 確かに美人さんだものね。」

「彼女、若いけど、既婚者だし、しつこく食事に誘われて

困るって、言ってたわ。」

 

「え~~~、もう、そんなにアタック掛けてるんだ!」

「迂闊だったわ~。」

「まさか、取引先さんへ、魔の手を伸ばしていたとは!」

「内内で、不倫されるのも困るけど、変に取引先と

ゴタゴタするのは、尚更困るわ・・・。」

 

「そうでしょ! あまりしつこいようだったら、会社に

言って、ベテランさんに変えて貰うわ。」

 

果たして、Tさんに、そんな権限があるのかどうか、私には

計りかねたが、取引先に信頼が厚く、ベテランのTさんが、

会社に、ご注進申し上げたとしたら、全く、放置されると

いうことには、ならないだろう。

 

私は、何だか、嫌な予感がした。