そろそろ書くべき時なのでしょうかね・・・。 ツインソウル その㉕
新人が入り、フレッシュな接客に惹かれたのか、展示会を重ねる度に、
新しいお客様が、増えて行った。
勿論、それに伴って、お客様が組むローンの手続きも増えてくる。
Tさん一人体制では、難しくなり、新たに信販会社から、もう一人
派遣されるようになった。
今回派遣されたのは、Tさんよりも、一回り若い女性。
勿論、美人の産地「博多」の名を汚さない、超美人さんである。
フジテレビの「めざましテレビ」に出てる久慈 暁子
さんみたいなタイプだ。
ただ、このあたりから、Tさんの明るさに、若干翳りが
生じてきたように思う。
「あ~あ、私達ぐらいの年齢になるとさ、ガードル履いても
もう、おなかのぽっこり、誤魔化しようがないわね~。」
「何いってるの~Tさん、スレンダーじゃないのよ~。
そんな事言われたら、私は、どうしたらいいのよ~。」
私なんか、ガードル履いても、履かなくても、タヌキ腹
に変わりないんだから~~~~。」
そう、笑いながら励ましても、彼女の顔は、何故か、
浮かないままだった。
「結婚して、子どもとかできて、しばらく経つと、どうして
なくなっちゃうんだろうね・・・。」
「あ・・・」
Tさんが、ご主人に対して、不満を持っているということは
薄々感じてはいたのだが、その一因が、セックスレスだった
事に気付き、私は、何故か、ちょっと、ほっとしていた。
「みんな、そんなもんだと思うわよ~。」
「一緒に暮らしていると、もう男女って感じじゃなくなるもんね。」
こんな科白が、決してTさんの慰めにはならないことは、解って
いたのだが、これは、日本人夫婦には、結構ありがちな悩みだと
思う。
「最近さ、S所長冷たいよね~。」
「え何で? 何か嫌な事言われたの?」
「そうじゃないけどさ・・・・、ちょっと前まで、私のこと
綺麗だとか、若く見えるとか、誉めてくれたのにさ、今は
全く、目線すら合わないわ。」
「若い子が来たら、もう、そっちしか、目に入らないって
感じよ。」
「ああ、新人さんね! 確かに美人さんだものね。」
「彼女、若いけど、既婚者だし、しつこく食事に誘われて
困るって、言ってたわ。」
「え~~~、もう、そんなにアタック掛けてるんだ!」
「迂闊だったわ~。」
「まさか、取引先さんへ、魔の手を伸ばしていたとは!」
「内内で、不倫されるのも困るけど、変に取引先と
ゴタゴタするのは、尚更困るわ・・・。」
「そうでしょ! あまりしつこいようだったら、会社に
言って、ベテランさんに変えて貰うわ。」
果たして、Tさんに、そんな権限があるのかどうか、私には
計りかねたが、取引先に信頼が厚く、ベテランのTさんが、
会社に、ご注進申し上げたとしたら、全く、放置されると
いうことには、ならないだろう。
私は、何だか、嫌な予感がした。